境界知能(グレーゾーン)という言葉は、子どもの発達の文脈で語られることが多いですが、大人になっても、その特性は続きます。
ただし、大人になると問題が見えにくくなるため、本人すら気づかないまま「生きづらさ」だけが残ることがあります。
• 仕事が続かない
• 注意しているのにミスが多い
• 人間関係のトラブルが増える
• 空気を読むのが苦手
• 段取りがいつも後回しになる
• 頑張っているのに「だらしない」と言われる
これらの背景に「境界知能」が隠れている場合があります。
この記事では、大人の境界知能の特徴と生きづらさ、仕事・生活で起こりやすい困りごと、そして今日からできる対処法まで詳しく解説します。
このサイトでは、IQ70〜85程度とされる境界知能を軸にしています。
グレーゾーンは、境界知能や発達障害など、生活の中で困りごとが生じやすい状態を幅広く指す言葉です。
大人の境界知能(グレーゾーン)とは?定義と特徴
境界知能(IQ70〜85)は“できる人”と“できない人”の境界に位置する「グレーゾーン」と言われることがあります。
(なお、地方自治体によってはIQ75以下を軽度知的障がいと認定する場合もあります。)
外見や会話では普通に見えるため、周囲からは「普通の大人」として扱われるのです。
• 抽象的な理解が苦手
• 状況判断に時間がかかる
• 同時に複数の作業が難しい
• 新しい環境に適応しにくい
• 生活スキルの習得に努力が必要
こうした特徴により、大人になってからも困りごとが続きやすいのです。
なぜ気づかれにくいのか?
● 子どもの頃「ちょっとゆっくりさん」で終わっていた
成績は平均ギリギリ、体育や生活は普通。問題行動がないため、支援が入りません。

皆さんも、クラスに1人や2人、こういった子供いませんでしたか?
昔はグレーゾーンや境界知能の言葉なんて、そもそもなかった。今、思い返すと、あの子はそうかもしれないのです。
● 社会では“自己責任”にされる
大人になると、できない理由より「できて当然」が優先されます。つまり「できないのはあなたが悪い」という、自己責任論が出てきます。

医師からも福祉からも、何も手助けがない。見えない障がい…みたいなもの。これが1番、つらいですよね。
● 本人が「できるつもり」でいる
実際に、自分自身が理解しきれていないことも多いです。
そのため、困ってから初めて“境界知能かもしれない”と気づくことが、たくさんあります。

実際に私の職場でも「もしかしたら」「この人、そうかも」と思った人が何人もいます。
仕事で起こりやすい困りごと
悩みやすい仕事上の問題には、次のようなものがあります。
● 覚えるのに時間がかかる
マニュアルがあっても、何度やっても理解しきれないことが多いです。これは、勉強と同じですが、仕事は、より早さが求められる。「1度聞いたら、覚えて当然」という不文律のルールもある。
だから、より悩んで、困ってしまうのです。
● マルチタスクが苦手
同時処理や優先順位づけが大きな負担になります。

これはワーキングメモリと呼ばれる作業記憶、短期記憶と呼ばれるものが低い。だから、2つ以上の行動が苦手なのです。
● “曖昧な指示”が理解しにくい
「臨機応変に」「適当に」「それっぽく」などの抽象的表現が苦手です。
例えば「この資料を見やすく」「明日、適当な時間に」は、どうしていいかわからない状態になります。
● ミスが続き、自己評価が下がる
努力しても結果が出にくいため、「自分はダメだ」と思い込みやすい。
マルチタスクや、あいまいな指示ができないと、職場でかなり辛い状況に陥ります。ましてや、取り返しがつかないことにもなりやすい。これでは、自己評価は下がって、当然ですよね。
● 職場が合わず短期離職になりやすい
環境が合わないと、続けることが苦しくなります。結果、「社会人なのにできていない」と誤解され、叱責や評価低下につながることもある。
それが続くと、退職するしかなくなってしまう。

私も、子供たちがこうならないか、心配しています。
人間関係で起きるすれ違い
境界知能の人はコミュニケーション自体が苦手というわけではありませんが、下記のようなすれ違いが起こりやすくなります。
• 相手の気持ちを読むことが難しい
• 言葉を額面通りに受け取る
• 依頼されたことの「背景」まで理解しにくい
• 説明が曖昧になり誤解を生む
• 衝動的な行動でトラブルに発展
その結果、
「空気が読めない」
「正直すぎる」
などの印象を持たれてしまうことがあります。

本音と建て前がわかりずらいので、失礼な言葉・ふるまいにつながることもあります。
お金・時間管理が苦手になりやすい理由
• 先の見通しを立てるのが苦手
• 物事の優先順位がつけにくい
• 金額感覚が弱い
• 計画的に使うことが難しい
これらの特性が重なり、
・貯金ができない
・支払いが遅れる
・不要な支出が多い
などの問題が起こりがちです。
本人は「気をつけているつもり」でも、管理が難しくなります。

お金が絡むと、特にトラブルになりやすい。気を付けなければいけません。
「普通にできない」ことで自己肯定感が下がる
境界知能の方の多くは、
“普通の人と同じように頑張っているのに、結果が追いつかない”
という状態を経験しています。
• 自分は怠けているのでは?
• 周りより明らかに劣っている?
• 大人なのに恥ずかしい
• 自分なんて価値がない
と深く自己肯定感を落としてしまうことがあります。
しかしこれは、能力の問題ではなく「脳の特性から来る困りごと」です。
周囲の人ができる関わり方
もし周囲の人の理解が得られるなら、こういった関わり方をしてほしいです。
• 「できない」を責めない
• 曖昧な指示ではなく具体的に伝える
• 手順を細かく分けて説明する
• スケジュールやメモを共有化する
• 得意な分野で活躍できる場を用意する
境界知能の方は、環境によって能力が大きく左右されるという特徴があります。
だからこそ、「できる環境」を整えることが一番の支援になります。
本人ができる生活・仕事の工夫
1. すべてを“見える化”する
• ToDoリスト
• 手順
• 優先順位
• スケジュール
などを書き出す習慣が効果的です。
短期記憶が難しいなら、目で見て、思い出すこと。これが最も効果的です。
2. 曖昧なことを曖昧なままにしない
「つまりどういう意味?」
「優先順位はどれですか?」
と質問することは悪いことではありません。しっかりと聞き返しましょう。

具体的な内容がわかれば、同僚や会社に迷惑はかけません。
3. 得意な分野に寄せた働き方を選ぶ
自分に合った職種を選ぶのは、誰でも考えることです。そして、境界知能に向いているのと、合わない職種はこちら。
向いている職種
• 作業系
• データ入力
• ルーティンワーク
• 接客(マニュアルが明確な場所)
合わない職種
• マルチタスク
• 曖昧なコミュニケーション
• 常に変化への対応が要求される仕事
4. “比べない”を徹底する
他人と比較すると、自己肯定感が著しく下がります。
比べるべきは“過去の自分だけ”。

これも、境界知能だから、ではありません。私も含めて、みんな同じ。上を見れば、キリがありません。
支援機関や相談先の活用
大人でも相談できる場所はあります。
• 発達障害者支援センター
• 就労支援(就労移行支援・職リハ)
• 産業医・職場の相談窓口
• 精神科・心療内科
• 自立支援医療
• 家族会・当事者会
「相談する=病気扱い」ではありません。現状を知ることは、最も大事なものであり、誰にとっても必要な“権利”です。
まとめ|気づくことで、生き方は大きく変わる
大人の境界知能は、本人すら気づかないまま、生きづらさだけが残る特性です。
しかし、特性を知って対処すれば仕事も人間関係も生活も、驚くほど改善していきます。
• 自分は怠けているわけではない
• “できない理由”には根拠がある
• 合う環境に変えるだけで能力は発揮できる
あなたは今まで十分すぎるほど頑張ってきました。
これからは、
「自分に合った生き方」を選んでいい のです。

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