境界知能(グレーゾーン)の子は、学校生活での負担が大きく、不登校につながりやすい特性を持っています。
しかし不登校には突然なるのではなく、必ず「サイン」が表れています。
このサインを早くキャッチできるほど、家庭での対応が柔らかくなり、子どもの負担を大きく減らせます。
この記事では、
• 不登校の前兆サイン
• 境界知能の子が抱えている“見えないしんどさ”
• 家庭でできる初期対応
• 再登校へ向けたステップ
を丁寧に解説します。
境界知能とは、一般的にIQ70〜85前後とされる範囲にあり、学習や理解の場面で困りごとが生じやすい状態を指しています。
グレーゾーンは、そうした境界知能を含め、発達障害なども含む幅のある状態を表す言葉です。
■ 境界知能の子が不登校になりやすい理由
まず知っておきたいのは、境界知能の子が不登校になりやすい背景です。
境界知能(IQ70〜85前後)の子は、「できる子」に見えるのに、実は相当な努力をしている状況が続きやすいのが特徴。
学校では、
・授業の理解
・友達との会話のスピード
・先生の指示の多さ
・曖昧なルールへの対応
・忘れ物の管理
・空気を読む力
など、見えない負荷が一日中続きます。
言語化が苦手なため、「しんどい」と伝えられず、限界が突然くるように見えるのです。
■ 不登校の初期に表れる“見逃されやすいサイン”
不登校の前には、次のサインが出ることが多いです。
【1】 朝の支度が極端に遅くなる
・着替えず布団にいる
・何度呼んでも動けない
・時間だけが過ぎていく
これは「行きたくない」を言葉にできない子の典型的サインです。
【2】 癇癪・泣きが増える
理由を説明できないため、“涙や怒り”として感情があふれます。

少しずつ、だが着実に出てくる感情。親だと感じる「なんかおかしい」が、実は大事なのです。
【3】 頭痛・腹痛などの体調不良が増える
心理的ストレスが身体症状に出るパターン。
病院で「異常なし」と言われても、子ども本人にとっては本当にしんどい状態です。

ストレスを「外からの攻撃」と感じ、体調不良と身体が反応してくるのです。
【4】 宿題がまったく手につかない
不登校前は、家庭学習の止まり方が目立ちます。
「できない」のではなく、エネルギーが枯渇している状態。明日行きたくないのに、その準備をしんどい中行う。これは大変です。
【5】 家では元気なのに学校の話を嫌がる
境界知能の子は「できる方の自分」を保つため、家では普通に振る舞いがち。
しかし、学校の話になると空気が変わる場合は要注意です。

必ず、学校での悩みを抱えています。
■ 学校で起きている「見えないしんどさ」
境界知能の子が学校で抱えている代表的なしんどさは次の通りです。
● 授業についていけない
説明が抽象的であり、そして、スピードが速いとなれば、もう理解が追いつきません。
● 友達関係のトラブル
・空気を読むのが苦手
・冗談が理解できない
・言葉が足りない
・話すスピードが合わない
その結果「変な子」と言われることもあるし「なんとなくからのシカト」も始まる危険性があります。
● 必要以上に怒られやすい
本人は頑張っていても、「聞いていない」「やる気がない」と誤解されやすい。

特に子供の特性がわからない人、理解がない人からは、そう見えてしまうのです。
● 感覚過敏や疲れやすさ
境界知能の子は、情報処理にものすごくエネルギーを使うため、毎日クタクタになります。この疲れが蓄積すると、“限界=不登校”という形で表れるのです。
■ 不登校の初期に家庭で“絶対にやってはいけないこと”
次の対応は、不登校を長期化させる原因になります。
【1】「甘えてるだけでしょ」と言う
境界知能の子は言語化が苦手。“伝えられないだけで苦しんでいる”ケースがほとんどです。

否定ばかりだと、そもそも話したくないのは、当然です。
【2】長時間の説得
「なんで行けないの?」と追い詰めるのは逆効果。
子どもは何も言えなくなります。

先ほどお話しした通り、子供は言語化するのが苦手。そこを汲み取ることが大事です。
【3】SNSやゲームを全面禁止
楽しみを全部奪うのは、回復を遅らせます。エネルギーの回復に“好きなこと”は必要。これがあるから、明日、頑張って学校に行けると思うかもしれません。
【4】兄弟と比較する
自己肯定感を大きく損なうため危険です。これは、境界知能だからといったものではない。比べられるのは、誰でもいやですよね。
■ 今日からできる家庭の対応
【1】 まずは休ませる
境界知能の子にとって不登校は、“限界に達したSOS”です。

休むことは逃げではありません。回復のために必要な時間です。1週間くらい、どうってことはないと、腹をくくって、休ませましょう。
【2】「行かなくてもいいよ」を一度だけ伝える
何度も言うと「行かなくてもいい」が強調されすぎるため、一度だけでOK。
大切なのは、“安心感”を伝えること。家が自分の居場所だと思えば、また学校に行ける可能性も出てきます。
【3】 家庭の負荷を下げる
・叱らない
・スケジュールを詰めない
・声かけを短く
・ゆっくり休ませる
この環境で子どもはエネルギーを回復させます。
【4】「今日できたこと」を一つ見つける
境界知能の子は成功体験が少ないため、“できたこと探し”が大きな支えになります。
・歯磨きできた
・ご飯を食べた
・ゲームをやめられた
・話しかけてくれた
・ありがとうと言ってくれた。
これだけで自己効力感が戻ります。
【6】 学校との連携は“親が窓口”で充分
境界知能の子は、先生と話すだけで緊張します。
担任との連携は、ここでこそ、私たち保護者。その際、伝えるべきは以下の通りです。
• しんどさのサイン
• 家庭での様子
• 学校で負担となっていること
• 配慮してほしい点
■ 再登校だけがゴールではない理由
不登校の支援では、「どうやって学校に戻すか」が目的とされがちです。
しかし境界知能の子の場合、安心して生きられる環境を整えることの方が圧倒的に重要になります。
再登校はあくまで“結果としての選択肢”にすぎません。
次の進路の選び方、学び方、働き方など、道はいくらでもあります。
焦らないことが、子どもにとって最善の未来につながります。
■ 再登校へのステップ(焦らずゆっくり)
【ステップ1】家庭で安心を取り戻す
エネルギーが戻ると、
・笑顔が増える
・会話が増える
・趣味に集中できる
といった変化が出ます。
【ステップ2】学校との接点を“短時間”で作る
・保健室登校
・放課後の短時間登校
・担任との顔合わせのみ
負荷は最低限でOK。これでも、十分な進歩。思いっきりほめてあげましょう。
【ステップ3】無理のない範囲で登校
できたら大成功。できなくても問題なし。
成功と失敗を繰り返しながら、少しずつ自分のペースを作っていきます。
■ 相談先・支援先の選び方(簡潔まとめ)
• 学校のスクールカウンセラー
• 子ども家庭センター
• 発達相談窓口
• 医療機関(必要な場合のみ)
• フリースクール
相性があるため、複数を同時に利用してOKです。
■ おわりに
境界知能の子の不登校は、
「親の育て方」
「甘え」
が原因ではありません。
限界まで頑張ってきた結果として起きるもの。
まずは、子どもが安心して過ごせる家庭環境を整えることが何よりの支援になります。
そして、こう思いましょう。「死ぬより、マシ」と。
死んでは何も意味がありません。この時期の子供は多感ですから、色々なことを考えてしまいます。学校に行かなくたって、あなたの子供が不幸になるとは、決まっていない。大丈夫、絶対。
あなたの対応は、必ず子どもの未来を支える大きな力になります。

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