なぜ「境界知能」を知ることが大切なのか?
「うちの子、どうしてこんなに勉強が苦手なんだろう…」
「周りの子と比べて、理解がゆっくりなのはなぜ?」
そう感じたとき、多くの親が最初に出会う言葉が “境界知能(ボーダー)” です。
まず、境界知能は病気ではありません。つまり、自然と治るものではないのです。
ただ、“日常生活では困らないけれど、学習面や集団行動で困りごとが起こりやすい”という特性を持つ子どもたちのことです。
この記事では、境界知能の基礎知識から、よく混同される 「軽度知的障害」との違い まで、専門用語を使わず、誰にでもわかる言葉で説明します。
1.境界知能とは?
■ IQ70〜84の“グレーゾーン”のこと
境界知能とは、色々な基準がありますが、このサイトでは「知能指数(IQ)が 70〜84 の範囲」を指すこととします。
IQ100が平均とされる中で、この70〜84というのは、ちょうど「理解がゆっくりな層」です。そして
• 病気ではない
• 日常生活は問題ない
• しかし学校生活では困りやすい
• 勉強に、とても苦労する
• 努力しても点数に反映されにくい
• 先生からは真面目だが、できない子と見られる
• 親も「なぜできないのかわからない」と感じがち
じゃあ、なぜ“グレーゾーン”と言われるのか。それは、障がいとは言えないけど、障がいと同じ苦労があるからです。
■ “グレーゾーン”は、障がい者と健常者の間だから
グレーゾーンと呼ばれるのは、障がい者と健常者の間だから。障がいを持っているなら、色々な補助がありますが、その制度からもすり抜けてしまう。つらい状況なのに、手助けがない。だから「生きづらさ」を感じるのです。
療育手帳はもらえないの?
療育手帳は、日本で「これ」という基準はありません。各地方自治体で、基準は違うのです。大きくは次の2つです。
- IQ75以下
- ⅠQ70以下

ちなみに私の子供はIQ72と73で、療育手帳を持っています。ただ、ほかの自治体に住んでいたら、もらえない可能性もあるのです。
■ 実は決して珍しくない
境界知能の人口は 全体の約14% と言われています。クラスに3~4人はいる計算です。
しかし、学校では“普通の子”として扱われるため、支援が届かず、本人は密かに苦しみやすいのが実情です。
2.境界知能の子がつまずきやすいポイント
境界知能の子どもには、共通した“つまずきポイント”があります。
① 勉強が「理解できない」ことが多い
• 理解できない、そもそもわからないこともある
• わかっても、表面的なことが多い
• 応用問題になるとできない
• わかっているように振る舞う
実力テストや中学内容から一気につまずく子が多いです。
② 複数の情報をまとめるのが苦手
• 作文
• 算数の文章題
• プロジェクト学習
• 話し合い活動
「読む→理解→整理→表現」という一連の流れが難しいため、点数が伸びません。私の次男は、文章を読む、作るのが、特に苦手で、本当にお手上げな面があります。
③ 忘れ物・提出物・時間管理が苦手
• 課題が出された瞬間は理解している
• それを覚えていようとは思う
• しかし帰宅したときには忘れる
• 期日内に終わらない
“ワーキングメモリ”と呼ばれる短期的な記憶が弱いことが原因です。
④ 自信をなくしやすい
境界知能の子は「頑張っているのに伸びにくい」ため、失敗体験を抱えやすく、やる気を失うのが最大のリスクです。さらに、これがいじめにつながることもあります。
3.境界知能と軽度知的障害の違い
境界知能は、よく 「軽度知的障害とどう違うの?」 と質問されます。
両者の違いは、こうです。
■ IQの基準の違い
IQの目安・特徴を表にしました。
| 名前 | IQ | 特徴 |
| 境界知能 | 70〜84 | 支援が必要になることがある“グレーゾーン” |
| 軽度知的障害 | 50〜69 | 明確な知的障害として支援が受けられる |
IQ70を境に、診断名が大きく変わります。
■ 軽度知的障害の場合の特徴
軽度知的障害には以下の特徴があります
• 学習全般に明確な遅れが見られる
• 日常生活スキルにもサポートが必要
• できることとできないことの差が小さい(均一にゆっくり)
• 支援学級・支援学校の対象
• ほとんど多くの自治体で手帳の取得が可能
境界知能よりも、支援の必要性が明確です。さらに、ほかの人、子供も「この子はおかしい」「この子は、なんか違う」と分かりやすいので、より支援の手が届きやすいのです。
■ 境界知能との決定的な違い
① 学習の得意・苦手の“差の大きさ”
• 境界知能:得意と苦手の差が大きい
• 軽度知的障害:全体的に苦手であり、その進み具合もゆっくり
② 生きづらさの見えやすさ
• 境界知能:外からは“普通の子”に見られる
• 軽度知的障害:初期から支援が届きやすい
境界知能は“支援が届きにくい”ことが最大の違いです。
③ 学校での扱い
• 境界知能 … 基本は通常級
• 軽度知的障害 … 支援級・支援学校がメインだが、通常級にも通っているケースも多い。
境界知能児は、見た目が普通なため、「頑張ればできる」と誤解されやすい傾向があります。ここが大きな問題の1つです。
4.境界知能の子が抱えやすい悩み(親目線)
ここでは、実際に境界知能の子を育てる保護者がよく感じる“リアルな悩み”を紹介します。
● 勉強自体が理解できない場合もある
● 勉強をがんばっているのに点数が伸びない
● 家では理解できていると感じるのに、テストで出ない
● 周りの子との差が中学で一気に開く
● 親がどの程度サポートすればいいかわからない
● 将来が不安(進学・就職・独り立ち)
こうした悩みを解決するためには、「境界知能の特性」を正しく理解することが最初の一歩です。
5.境界知能の子が伸びるために必要なこと
境界知能の子は、環境が合うと実は想像以上の成長を見せます。これは、今の私の上の子供が現になっている状況です。
具体的には次の4つです。
① 学校が、子供に合うかどうか
• 授業のペース
• 提出物の管理
• 先生の支援スタイル
が合うかどうかが重要です。特に高校なら、学校を選べますから、偏差値ではなく、この点を重視しましょう。
② 得意を伸ばす学習
境界知能の子が伸びるのは「得意な分野」から。

私の子供は上の子は、社会や国語。下の子供は算数でした。
③ 自信を奪わない声かけ
境界知能の子だけではないですが“否定され続ける”と、やはり精神的にかなりつらい状況になります。

困難な状況でも、努力をしているのだから、むしろ、あなたの子供はすごいのです。
④ 家庭での環境づくり
• 生活リズム
• 目標の見える化
• 声かけの工夫
• 勉強の手順を簡略化
家庭の工夫だけでも成績は安定します。
6.境界知能を学校と共有する
このような特性を、学校側に伝えないと、わかりません。何度も言いますが「見てわからないから」「ほかの子供と同じ外観だから」です。
だからこそ、大事なのは、この情報を共有すること。それだけでも、学校側が寄り添う対応をしてくれ、あなたのお子さんも学校に「行きやすく」なります。
• 病気でもなく、
• 将来が閉ざされるわけでもありません。
境界知能の子には、
ゆっくりでも確実に伸びる未来があります。
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